突然、観光農園の中止を決定したことをまずはお詫び申し上げます。
「来年も行くよ」とおっしゃっていただいたお客様も多くいらっしゃる中で、このような発表をすることは慚愧に耐えません。
また本来であれば、お客様に直接ご挨拶すべきところ、ホームページ上での周知になってしまった失礼を陳謝いたします。
観光農園の中止はまったくもってこちらの都合なので、何を言ってもお客様には言い訳になってしまいますが、
「納得のいく理由が聞きたい!」
とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますので、この場を借りてご説明いたします。
以前ブログの記事で書いたのですが、管理作業が追い付かないのが第一の理由です。
朝、収穫して、そのまま日中は園地でお客様をお迎えして、それと並行して発送業務と次に収穫する品種の管理作業・・・というのは厳しかった・・・
人を雇えばよいではないか!というご意見もあるかと思いますが、収穫は早朝(5時)から始まる上に、りんごと違って桃の収穫にはかなりの慣れが必要であることから、おいそれとバイトに任せるわけにはいきません。
日中バイトが工面できたとしても、私が園地にいない、というのはそもそも観光農園を始めた趣旨に反するので、結局はずっと畑に出ずっぱり・・ということです。
涼しい季節ならなんてことはないのですが、真夏であることがネックになりました。
開始当初行っていた「かぼちゃのトンネル」をやめて、昨年には開園期間も短くすることで、乗り越えようとしましたが、メリット・デメリットを天秤にかけると、やはりこのまま継続することは農業経営にマイナスと判断しました。
そして昨年の酷暑・・・・
暑さのピークが7月下旬〜8月上旬にかけてだったのでまだ救われましたが、これが開園期間のお盆前後にあたっていたら・・・
と思うとゾッとします。
冗談ではなく、私たちやお客様にとって危険なレベルです。
桃にとってもわずかな採り遅れが日焼けに結びつきます。
それに今だから言いますが(別に隠していたわけではありませんが)、試食用の桃は畑に置いて追熟させていました。
やわらかくなった状態では車での運搬ができないので、桃狩りする場所の近くに置いとかざるを得ないのです。
しっかりした建物の中に置いておけるのならよいのですが、屋外のテントの中が彼らの居場所でした。
「暑さで傷むのではないか・・」
「風でテントが飛ばされたら・・」
「アリの大群や熊に襲われたら・・」
「誰かに盗まれないだろうか・・」
とさまざまな不安要素を抱えながら、他に方法もなかったのです。
幸いここまで大過なく来ましたが、一度でもそういうことがあれば大変です。
どこへ行ってもチェーンの飲食店やレジャー施設が幅を利かせる中で、そういうのに負けない「ここだけの場所」を目指してやってきたのに、ここで撤退するのは忸怩たる思いもあります。
ただ、私はこの頃「つくること」に全力で取り組みたいと思うようになりました。
「効率よく」「高品質のものを」「たくさんつくる」
農業とはつまるところこの3点をいかに追及するかだと思います。
最近は販売面での取り組みを強化するよう、各方面から農家に圧力がかけられていますが、
(「農家は作る方はプロだが、売る方がまるでダメだ。これからは生産に加えて加工と販売も手掛けていかなくてはいけない」・・云々。「作る方」もプロではない農家が増えている気もしますが)
それも、上記の3点が及第点に達していてこそです。
私は3点ともまだ不合格ですが、周囲を見ても特に最初の「効率よく」とは縁遠い農家がほとんどです。日本の農業の生産性の低さはよく言われることで、何とかしたいと気持ちは焦るばかりです。
販売より生産を!
今一度原点に立ち戻って精進したい・・そう考えています。
長々と釈明しましたが、皆様にはご理解いただきますようお願いします。