人は言う。
「鳥は旨いりんごを知っている・・」
「鳥は熟したりんごから狙って食べに来る・・」
「おいしいりんごはガッツリ食べるが、不味いりんごは少しだけ突っついて次へ行ってしまう・・」
私は思う。
「おとぎ話か!?」
ミミズや羽虫食ってる連中と人間の味覚が同じなワケはないと思うのは私だけ?
熟したりんごは赤くて目立つから喰われるんじゃないの?
先に熟す高い枝のりんごは鳥にとって攻撃しやすいから先に喰われるのでは?
そんな疑問をずっと抱えていましたが、先日、ある新聞記事に目が留まりました。
「動物の味覚の研究も飛躍的に進展した」とあります。
味を感じるセンサーである味覚受容体の遺伝子が解明されたことにより、しゃべらない動物の味覚についてある程度分かるようになってきたそうです。
ネコが甘いものに興味を示さないのはネコが甘みを感じないから。ネコ科の動物はゲノム上の甘味受容体の遺伝子が変異していて働いていないこと分かった、とあります。
ムクドリやモズ、ヒヨドリ、カラスなど、りんごを食害する鳥たちについての研究成果はありませんが、彼らの同族であるニワトリは苦味受容体を3種類しか持たず(人間は25種類)、甘味受容体は持たない。
おなじく鳥の仲間のペンギンは甘味・苦味・うま味を感じる遺伝子がないので、酸味と塩味しか感じない可能性がある。
たしかにペンギンは魚を丸呑みしている・・味わっているようには到底見えません。
やっぱり鳥たちにはりんごの美味しさはわからないんだよ!
同じく、虫食いの野菜を「虫が食べるほどおいしい野菜」などという強弁も、人と虫を両方バカにしているように聞こえます。
「蓼食う虫も好き好き」というくらい、虫の食の好みも種によって違う。
まして人にとって美味しいから、鳥や虫にとっても美味しい・・という理屈は、むしろ恐ろしく人間様中心的な、人間以外の生物に対して著しく敬意を欠いた考え方なのではないかと思います。