世の中には、大きなりんごを作る人と、小玉ばかり作る人がいます。
桃も同様です。
一般に日本では、果物はある程度の大玉のほうが評価されます。りんごはまだ小玉であっても、食べきりサイズでよいとか、丸かじりできるとか、日持ちがよいとかの利点はありますが、桃に関しては圧倒的に大玉優位の世界です。
桃は種が大きく、かつ種の大きさは果実自体の大きさと比例しないそうなので(小さい果実でもそれなりに種は大きい)、小さい果実だと種の比率が大きくなり、歩留まりがわるくなります。一生懸命皮をむいても、種をよけて切り分けると可食部分はわずか・・・という切ない思いをします。
加えて桃は大きい方が糖度ものりやすいといわれています。
りんごは大きすぎると大味になるので、こちらも敬遠されますが、それでも小玉に比べれば大玉のほうが相対的に高値で取引されます。
にもかかわらず、毎年小玉ばかり作ってしまう人がいます。
果実の大きさを決める要因は養分の供給量、摘果の早晩です。
肥料を多くくれてやれば大きくなりやすいし、樹勢が旺盛であればこちらも大玉傾向です。
ただ、肥料過多や強樹勢により大玉になった果実はあまり美味しくないことが多いです。
となると、食味を維持したまま大玉を作ろうと思ったら、摘果を早く行うことと、着果量を減らことが重要です。
至極簡単に思えますが、それでも毎年小玉を作ってしまう人がいる。
前年、小玉だったのなら、今年はより早く摘果して、かつあまり生らせすぎないようにすればよいのですが、なかなかそれができないのですね。
小玉作りは「体質」に近いものがあると思います。
忙しくて手が回らず、摘果が遅くなってしまうという事情がほとんどでしょう。
しかし、同じような条件下でも大玉を揃えてくる生産者もいることを考えると、そればかりが理由ではなく、「どうしても着果量が減らせない!」という体質といってよいのではないでしょうか。
体質改善が困難であることは多くの人の実感でしょう。果物づくりでもこの「小玉体質」は厄介です。