2019年06月22日

RACコード

農薬には「系統」というものがあります。


作用機構や分子構造の違いによって分類されています。


殺虫剤なら、有名どころでカーバメート系・有機リン系・ピレストロイド系・ネオニコチノイド系など。

殺菌剤なら、黒星病耐性菌の出現で一気に「使えない薬剤」にリストアップされてしまったDMI剤やQol剤。またテトラサイクリン抗生物質・SDHI剤など。


耐性菌・抵抗性害虫の発生を防ぐために、薬剤はローテーション散布(複数の異なる薬を順番に使用する)が基本ですが、その際に系統名が利用されます。


「この前、有機リンを使ったから今回は合ピレ(合成ピレストロイド)でいこう」のように。


ただ、私たちは系統名で言われても、その薬がどこにあてはまるのかよくわからない。

農薬の容器に書いてあればよいのですが、なぜかほとんど無い


すっきりしないので一覧表を探してみたら、簡単に見つかりました。

それがRACコード表


Resistance Action Committee の略です。


殺菌剤の場合はFungicideResistance Action Committee でFRAC.


殺虫剤はInsecticideResistance Action Committee でIRAC


あまり使われませんが除草剤はHerbicideResistance Action Committee でHRAC


P1090929.JPG


最近になってようやく農薬ラベルにもこのコードを記載するメーカーも出てきたようですが、それにしても動きが鈍い・・


由らしむべし 知らしむべからず」と言いますか、


「農家に理屈教えてもしかたない、俺らの言うとおりにやってりゃいいんだ」とでも考えているのでしょうか。


どうも農協をはじめとする農業機関は農家をみくびっているように感じることがあります。


一方で農家は自分で考えることを面倒くさがって、ただ農協の言うがままに肥料を撒き、農薬を撒いているケースも多いです。


先日も、農薬店で、次に散布する農薬の種類について相談していたら、そこに居合わせたベテラン農家曰く


「いろいろ考えてんだなぁ。俺はわけもわかんねえで言われるまま撒いてるだけだ。」


こういう意識がとくに高齢兼業農家に多い。


ある人の考察では(農民作家の山下惣一さんだったと思いますが)、日本の農業はコメ作りを基盤としていて、コメ作りというのは用水を皆で管理して共同で利用しているために、他の人と違うことがやりづらいし、そういう人は敬遠される、だから自分で考える習慣ができなかった、とのことです。


だいぶ(また)脱線してしまいました。


前回防除は、農協や農薬店の作った防除暦では、殺虫剤はアルバリンを使用することになっていましたが、アルバリンはネオニコチノイドなので、うちではディアナというクスリをチョイスしたのですが、あとで見てみると・・・


ディアナのコードは「5」でスピノシン系

ネオニコは「4Aなので、コードは違うのですが、「作用機構」を見てみると、

ネオニコが「ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター → 神経作用」。

スピノシンが「ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター → 神経作用」。


ほとんど同じやん!!

この「競合的」と「アロステリック」の違いが大きいのか?


今度確認しなくては!!


posted by 農天気 at 18:36| Comment(0) | 日記

2019年06月15日

中心果どこ行った?

今季、りんご農家は大騒ぎです。


何でかって言うと・・・


りんごが生っていない。


もしくは生っていても中心果がない。


ちなみにりんごはひとつの芽から複数の花が咲きます。中心にある花が中心花(実になると中心果)、周囲の花が側花(同側果)、前年、中心果の方が早く作られ、時間をかけて充実してくるため、側果より中心果の方がよいりんごになります


とくに早生種(つがる・シナノリップなど)・中生種(秋映・スイートなど)は中心果と側果でかなり優劣がハッキリするため、摘果の時の中心果残しは必須です。


その中心果がない!


うちでもスイートや名月など、「こんな綺麗に中心果だけ落ちることができるの?」ってくらい中心果はありません。


理由は大きく二つ考えられています。


ひとつは前年、花芽がうまく形成されなかった。


もうひとつは開花前後の霜の害です。


昨年はカラ梅雨でした。


花芽の形成期は6〜7月頃ですが、その時期に雨が全く降らなかった。


なんらかの影響は出てくると思いましたが、やはり全体的に花芽が充実していなかった、もしくは花芽自体ができなかったのです。


この春は開花時期が天候不順だったために、畑によって開花時期がだいぶずれました。


強い霜が降りたときに、花がどの状態だったかによって明暗はわかれました。


・中心果がほとんどない畑。

・全体的の花・着果が少ないが、中心果はそこそこ残っている畑。

・意外と着果良好な畑。


北信濃だけではなく、県全域で状況は芳しくなく、また最大産地の青森でも花ぶるい(花は咲いたが実にはならなかった)が多かったそうです。だからこの秋、りんごの市場価格は上がるのではないか・・などという声が聞こえますが・・・


豊作貧乏もいやですが、やはり良いものがたくさん採れた方が嬉しいものです。

だから価格上昇の期待より心配の方が大きいです。


ちなみにうちのリンゴ畑は1枚だけ遠く離れているのですが、そこは開花が12日遅かったせいか、結実はそこそこ・・

畑はまとまっていた方が楽ですが、リスク分散のためにはやはり離れた畑もあった方がいいかも知れません。




posted by 農天気 at 22:33| Comment(0) | 日記

2019年06月08日

グリホサートその3

グリホサートの優れた除草特性を発見したのは日本人であると言われています。

高温多湿の雑草天国、日本で除草剤の知見が多く生まれたのは必然かもしれません。


わずかな除草成分で長期間雑草の発生を抑える土壌処理型除草剤は、日本人(しかも長野県出身!)が生み出した世界に誇る技術ですが、日本だけでなく世界の農民を草取りの労苦から解放したこの発明についてあまり知られているとは言えません。


農薬=悪 というメディアの刷り込みによる弊害でしょう。


『世界の田畑から草取りをなくした男の物語―ダイコンのくびれから除草剤処理層理論を確立し、数々の除草剤を開発した竹松哲夫の業績』


は、普段私たちが馴染みのない除草剤開発の現場や歴史について書かれた良書です。人によっては農薬についての価値観が一変します。お勧めです。



ラウンドアップのメーカー、モンサントは遺伝子組み換え作物のメーカーとしても有名です。大豆などのラウンドアップ耐性遺伝子組み換え作物とラウンドアップをセットで売り出すことで巨大な利益を挙げています。


ラウンドアップのような非選択性除草剤は、作物の上からかければ当然作物も無事ではすみません。

しかし、ラウンドアップが効かないように遺伝子を組み替えた大豆なら、植えて、芽が出た後で、上から全面散布しても大豆は枯れず、雑草だけを枯らすことができます。


これがどれだけ便利なことかは、農業の現場にいる人なら誰でもわかるはずです。


またこの方法を使うなら、作物を植える前に全面を耕運する必要がありません

植え付け前の耕運には、作物の生育初期の雑草を抑える意味合いがありますが、容赦なく除草剤が使えるとなればその必要はありません。


耕運すると土壌が細かくなり、また乾燥して軽くなるので、風や水による土壌の流亡が起こりやすくなります。雨量の多い日本ではそれほど問題にはなりませんが、アメリカやヨーロッパの一部では土壌流失は大きな問題だそうです。

「遺伝子組み換え作物を使えば耕運がいらないから環境保全になる」

とは、推進派の理屈のひとつです。


環境保全の真偽はとりあえずおいても、重要なのは、この遺伝子組み換え大豆の種はモンサントしか販売できず、したがってこの栽培方法を採用している限りモンサントから種子と除草剤を購入するしかなく、依存してしまうと、モンサントに生殺与奪の権限をにぎられることになるということです。


個人的には、今のところ遺伝子組み換え作物の食用としての安全性を不安視してはいませんが、種子支配は深刻な脅威です。


日本は加工品としては大量の遺伝子組み換え食品を輸入していますが、種子としては入ってきていません。ヨーロッパ諸国と比べて農民の危機感が乏しいのはこのあたりにも理由があると思います。種子法廃止に伴って、いよいよ遺伝子組み換え作物の種子が国内にも入ってくる下地ができてきているので、安穏とはしていられませんね。


・・なんだかまとまりませんね。

「お前はどっち派なんだ?あ?」

と突っ込まれそうです。


書いてみて知識不足を痛感しました。

もっと勉強して考えをまとめたいと思います。


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posted by 農天気 at 21:14| Comment(0) | 日記