2019年06月15日

中心果どこ行った?

今季、りんご農家は大騒ぎです。


何でかって言うと・・・


りんごが生っていない。


もしくは生っていても中心果がない。


ちなみにりんごはひとつの芽から複数の花が咲きます。中心にある花が中心花(実になると中心果)、周囲の花が側花(同側果)、前年、中心果の方が早く作られ、時間をかけて充実してくるため、側果より中心果の方がよいりんごになります


とくに早生種(つがる・シナノリップなど)・中生種(秋映・スイートなど)は中心果と側果でかなり優劣がハッキリするため、摘果の時の中心果残しは必須です。


その中心果がない!


うちでもスイートや名月など、「こんな綺麗に中心果だけ落ちることができるの?」ってくらい中心果はありません。


理由は大きく二つ考えられています。


ひとつは前年、花芽がうまく形成されなかった。


もうひとつは開花前後の霜の害です。


昨年はカラ梅雨でした。


花芽の形成期は6〜7月頃ですが、その時期に雨が全く降らなかった。


なんらかの影響は出てくると思いましたが、やはり全体的に花芽が充実していなかった、もしくは花芽自体ができなかったのです。


この春は開花時期が天候不順だったために、畑によって開花時期がだいぶずれました。


強い霜が降りたときに、花がどの状態だったかによって明暗はわかれました。


・中心果がほとんどない畑。

・全体的の花・着果が少ないが、中心果はそこそこ残っている畑。

・意外と着果良好な畑。


北信濃だけではなく、県全域で状況は芳しくなく、また最大産地の青森でも花ぶるい(花は咲いたが実にはならなかった)が多かったそうです。だからこの秋、りんごの市場価格は上がるのではないか・・などという声が聞こえますが・・・


豊作貧乏もいやですが、やはり良いものがたくさん採れた方が嬉しいものです。

だから価格上昇の期待より心配の方が大きいです。


ちなみにうちのリンゴ畑は1枚だけ遠く離れているのですが、そこは開花が12日遅かったせいか、結実はそこそこ・・

畑はまとまっていた方が楽ですが、リスク分散のためにはやはり離れた畑もあった方がいいかも知れません。




posted by 農天気 at 22:33| Comment(0) | よもやま話

2019年06月08日

グリホサートその3

グリホサートの優れた除草特性を発見したのは日本人であると言われています。

高温多湿の雑草天国、日本で除草剤の知見が多く生まれたのは必然かもしれません。


わずかな除草成分で長期間雑草の発生を抑える土壌処理型除草剤は、日本人(しかも長野県出身!)が生み出した世界に誇る技術ですが、日本だけでなく世界の農民を草取りの労苦から解放したこの発明についてあまり知られているとは言えません。


農薬=悪 というメディアの刷り込みによる弊害でしょう。


『世界の田畑から草取りをなくした男の物語―ダイコンのくびれから除草剤処理層理論を確立し、数々の除草剤を開発した竹松哲夫の業績』


は、普段私たちが馴染みのない除草剤開発の現場や歴史について書かれた良書です。人によっては農薬についての価値観が一変します。お勧めです。



ラウンドアップのメーカー、モンサントは遺伝子組み換え作物のメーカーとしても有名です。大豆などのラウンドアップ耐性遺伝子組み換え作物とラウンドアップをセットで売り出すことで巨大な利益を挙げています。


ラウンドアップのような非選択性除草剤は、作物の上からかければ当然作物も無事ではすみません。

しかし、ラウンドアップが効かないように遺伝子を組み替えた大豆なら、植えて、芽が出た後で、上から全面散布しても大豆は枯れず、雑草だけを枯らすことができます。


これがどれだけ便利なことかは、農業の現場にいる人なら誰でもわかるはずです。


またこの方法を使うなら、作物を植える前に全面を耕運する必要がありません

植え付け前の耕運には、作物の生育初期の雑草を抑える意味合いがありますが、容赦なく除草剤が使えるとなればその必要はありません。


耕運すると土壌が細かくなり、また乾燥して軽くなるので、風や水による土壌の流亡が起こりやすくなります。雨量の多い日本ではそれほど問題にはなりませんが、アメリカやヨーロッパの一部では土壌流失は大きな問題だそうです。

「遺伝子組み換え作物を使えば耕運がいらないから環境保全になる」

とは、推進派の理屈のひとつです。


環境保全の真偽はとりあえずおいても、重要なのは、この遺伝子組み換え大豆の種はモンサントしか販売できず、したがってこの栽培方法を採用している限りモンサントから種子と除草剤を購入するしかなく、依存してしまうと、モンサントに生殺与奪の権限をにぎられることになるということです。


個人的には、今のところ遺伝子組み換え作物の食用としての安全性を不安視してはいませんが、種子支配は深刻な脅威です。


日本は加工品としては大量の遺伝子組み換え食品を輸入していますが、種子としては入ってきていません。ヨーロッパ諸国と比べて農民の危機感が乏しいのはこのあたりにも理由があると思います。種子法廃止に伴って、いよいよ遺伝子組み換え作物の種子が国内にも入ってくる下地ができてきているので、安穏とはしていられませんね。


・・なんだかまとまりませんね。

「お前はどっち派なんだ?あ?」

と突っ込まれそうです。


書いてみて知識不足を痛感しました。

もっと勉強して考えをまとめたいと思います。


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posted by 農天気 at 21:14| Comment(0) | よもやま話

2019年06月01日

農薬の安全性について考える

グリホサートに限らずですが、農薬の安全性について考えるときに、おさえておきたいことがあります。


@リスクとベネフィットをはかりにかけて使用の是非を考える。


A動物を使用した試験では、基本的に何らかの症状が出るまで投与を続けるので、症状が出たこと=その成分が危険・・・・ではない。


B農薬にもっとも被ばくしているのはまず、研究開発に関わる人たち、次に散布している農家であり、その量は残留農薬からのみ摂取している一般消費者のおそらく数十倍〜数百倍と考えられる。だからもし健康被害があるのなら、まっ先にこういう立場の人たちに出るはず。


C発がん性が疑われるという表現がよくなされるが、私たちが普段口にしている野菜等にも多少の違いはあれ発がん性物質は含まれている。


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@について

 風邪薬であれ何であれ、クスリと名がつくものは常に副作用などのリスクを抱えています。それでも使用することによる利益が大きいからみんな使っているのです。

 よく引き合いに出されるのが自動車です。自動車による事故死者数は毎年数千人。対して農薬による死者数は一桁です(自他殺除く。残留農薬摂取によるものは数値上はゼロ)。 

 「農薬が原因とはっきりしなくても、見えない健康被害はあるだろう」

という意見も当然あります。急性毒性の判定は容易でも、慢性毒性の証明は難しいのが実情です。農薬に対する不安が払しょくできないのはこの点でしょう。


Aについて

 よく、「動物実験ではこんな健康被害が出た」という批判記事を見かけますが、実験では、何らかの症状が出るまで投与を続けるそうです。症状が出ても、そこまでの投与量が通常ありえない量であれば問題とはされない。食塩でさえ、大量に摂取すれば人は死んでしまう、というのも例えとしてよく出されます。


Bについて

 個人的にあまり指摘されないな、と思うのがこの点です。残留農薬の検査ではほとんどが検出限界以下。仮に検出されても=健康リスクがあるわけではなく、定められた基準値を超えなければ問題はないとされています。

 一方で、散布する側にとっては、「吸い込まない」という前提で考えられているのではないかと思います。防護服(単に雨具)に身を包み、マスクをしていても、まったく吸い込まないということはありえず、その吸収量が残留農薬の量とは桁違いだということは誰でも想像できると思います。

 となると、都会より農村地帯の方が、農薬の健康被害ははるかに多く出ているはずですが、統計上有意な差は認められていないのではないでしょうか。

 農薬の空中散布で気分が悪くなった・・というニュースはたまに出てきますが、これは急性毒性なのでまた別の問題です。


Cについて

ガンの原因特定は難しく、それゆえに得体のしれない恐怖感を人に与えるのでしょう。「発がん性がある!(疑いがある!)」と言われたらそれを完全に否定することは難しい。ある意味、健康被害を訴えるにはとても便利なのです。

 しかし、@でも触れたように、世の中にリスクゼロというものは皆無で、大切なのはそのリスクが許容範囲であるかどうかです。普段私たちが口にしている食品等にも微量ながら発がん性物質は含まれていると言われています。そしてその量は残留農薬のそれより桁がふたつくらい違う(多い)とも。

 毒となる要素がある程度含まれていても、それを解毒しながら人は生きています。


 私は農薬を使用する立場ですが、多くの農薬否定論者と同じように専門家ではありません。@、A、Cについては書籍やサイトからの受けうりですし、Bについても数値上の根拠を明示できません。ただ、いろいろな見方があるということは知ってほしいと思います。


・・また脱線気味・・・


posted by 農天気 at 21:06| Comment(0) | よもやま話