2020年10月24日

葉とらずりんごの世界

農業資材のお店で農業雑誌「現代農業」のバックナンバーが「100円」で売っていました。

2年くらい前の号なので、ニュースとしての価値はありませんが、正直、他業界に比べると変化の遅い農業のことなので、古くても役立つ情報はけっこうあります。


その中に「葉とらずりんご」の特集がありました。

「葉とらずりんご」とは、通常、りんごを着色させるために行う「葉摘み」を行わないで収穫したりんごのことです。


光合成を行うのは葉っぱだから、葉をとらないりんごの方が食味は上」という理屈で一部の消費者に人気です。


生産者としても作業の工程をひとつ省略できるメリットがあります。


私は「日本のりんごは見た目も良くてナンボ」と考えているので、当面葉とらずりんごを作るつもりはありませんが、関心はあります。


というのも「葉とらず」をめぐる状況はかなりちぐはぐに思えるからです。


まず「葉とらず」と「葉とれずが混在しているということです。


「葉とらず」とは上記したように「見た目より食味重視」という考えのもと、ポジティブに「葉っぱをとらない」選択をしたもので、葉摘みをしなくとも着色が良くなるよう、剪定を工夫したり、支柱や枝吊りで採光性を確保するよう努力します。


一方で「葉とれず」は葉摘み作業が追い付かず、やむなく葉っぱを摘むことなく収穫を迎えたもの。当然そこには「葉とらず」に見られる努力はほとんどありません。


さらに「葉とれず」よりも悪質なやり口もあります。

すなわち、樹の内部などでほとんど光が差し込まず、色づかないリンゴを「葉とらず」と言って売り出すタイプ。自らの怠慢を逆手にとっています。


他には、「葉とらず」と言いつつ、見た目を向上させるために少し葉っぱをとっちゃってるやつ


だって着果位置や葉の付き方によっては、葉とらずだとほとんど色づかず、全然「美味しくなさそう」に見えちゃうりんごもありますから、そこをちょっと葉摘みしてやることで、「それっぽく」かつ「見た目もそこそこ」なりんごにしてやるわけです。


直売所でりんごの販売の手伝い(組合員だったので強制)をしていたとき、お客さんから「○○さんの葉とらずりんごが欲しいの。ないのかしら?」と問われました。生産者に連絡すると持ってきてくれるとのこと。


しかし到着したりんごはどう見ても葉とらずではない。お客さんは葉とらずりんごだと思ってありがたがって買っていくのですが。

しっかり色づいていて、かつ「葉とらずだから美味しい」のだったらお客さんにとってこんなうれしい話はありません。でも現実はそうそううまくない。


ことほどさように「葉とらず」をめぐる世界は混沌としているのですが、私が最初につまづくのは、そもそも「葉とらず」だと本当に美味しいのか?という根本的な疑問です。


来週に続く・・・






posted by 農天気 at 18:36| Comment(0) | よもやま話

2020年10月17日

不正受給と農業

以前、このブログの中で、農家は持続化給付金の不正受給ができる、と書きました。


http://tsurufarm2019.sblo.jp/article/187620169.html?1602924752


案の定あったらしいです。


今朝の新聞に、「農閑期なのに・・・減収と申請」という記事。


青森のあるリンゴ農家は「来年のコロナの影響が見込めない」という考えで申請して、「昨年より手取りが多くなる。リンゴ農家ならだれでも受け取れる」と淡々と話したそうです。


「淡々と」がポイントですね。周囲ではみんなやってるのでしょう。


ある農家も、「周りに言われるがまま申請した」と話しています。 


電通は給付業務の巨額の委託金を中抜き。アベノマスクにからんだ業者も大儲けでしょう。

そういうの見聞きしていれば「自分がやって何がわるい」「もらえるものはもらわない方がバカ」と考えても仕方ないのかもしれません。


救いなのは、受け取ったけれども返還を申し出る人もいたということです。

でも多くて10人に1人くらいでしょう。農業と縁遠い人たちは、農家を「純朴で正直な人たち」なんていう幻想を抱いているかもしれませんが、ハッキリ言って間違いです。むしろ個人経営で小規模であるために不正がチェックされづらいので、やりたい放題なのかもしれません


この夏、桃農家は穿孔細菌病という病害で大打撃を受けましたが、これにも支援金が下りるそうです。


有難い話ですが、これもズルし放題の予感です。


対象園地や被害果実の写真を添えて申請するのですが、そんなの同じ畑でも場所や角度を変えていくらでも撮れるし、なんだったら他の人の畑をこっそり撮影してもいい。


面積についても同様です。賃貸契約書などを添えて出しますが、面積はごまかせます。

例えば登記面積が3000uでも耕作面積が2000uだけというのはままあります。これをマックス3000uで申請してもバレないでしょう。


風当たりの弱い園地ではそもそも病害がほとんど発生していませんが、ここも「出ていた!」と言い張れば申請可能。


正直者がバカを見るくらいなら助成金などないほうがいいのかもしれません。


ちょうど「ほぼ日手帳」の今日の一言にこんな言葉が・・


「みんながよく勘違いするのは『嘘はコスパがいい』と思っているところです。長い目で見ると、本当は『正直であるほうが、コスパがいい』のです。」・・・


そう願いたいですね。



posted by 農天気 at 20:08| Comment(0) | よもやま話

2020年10月10日

カメ害再び

現在、秋映の収穫は大詰めで、スイートは着色待ち。ふじの葉摘みを進めています。


葉摘みをしていると、カメムシに加害されたりんごが目につく!


「え、これも?こっちも?」


今年はカメムシの発生が多いと春先から言われていました。


林に囲まれていて、昨年カメムシにボコボコにされた園地は、カメムシにターゲットを絞った殺虫剤を並べて防除プランを組んだのですが、それ以外の園はほとんど林のそばにはないので、ノーマークでした。


それどころかネオニコチノイド系殺虫剤を使用しなかったため、通常防除よりカメムシに弱い防除体系になっていました。


またやっちまった・・


後悔先に立たず。今は被害が広がっていないことを願うばかりです。


どうにも薬剤防除の組み方を甘く見る癖は抜けておらず、来季への課題となりました。


posted by 農天気 at 19:24| Comment(0) | よもやま話