2019年11月09日

今宵の月のように

「名月」というりんごがあります。正式名称は「ぐんま名月」。

その名の通り群馬で生まれた品種ですが、どの県も好き好んで他県をアピールはしないので、「名月」と呼んでいます。


シナノスイートを他県で作る場合、「シナノ」を省くと「スイート」になって、あまりに守備範囲が広くなり過ぎるので、そのまま呼ばれているようです。

他国の品種を盗むのが得意などこぞの国では、まったく違う名前で勝手に販売されているらしいですが。


名月の親は「ふじ」と「あかぎ」

「あかぎ」は赤城山から名付けられたもので、当然これも群馬発。だからこの組み合わせは群馬県ならではです。

ちなみにふじもあかぎも赤いりんごなのに、名月は黄色系なので、異端児とも言えます。


群馬は実はりんごを結構作っています。

りんごの生産量は、長野県を除けば東北勢が上位を独占する中で、7位につけています。

関東最大の産地!」と聞けば、人口の多い地域なだけに「おお、すげえ!」となりますね。

6位の秋田県の3分の1くらいなのですが(長野は2位)、それでも侮れません。


群馬産りんごを食べたことは多分ありませんが、味も良いらしい。


さて、名月。

収穫時期はりんごの王者ふじとほぼ同時期。ふじほどではないが日持ちもそこそこ。

酸味がほぼなくて、甘くやわらかめ。


ふじが美人だけどちょっとお高くとまった女(個人の感想です)だとすれば、名月はやさしく包み込んでくれるほんわかお姉さんタイプと言えるでしょう(個人の感想です)。


味がよいことと蜜が入ること、そして(ここ重要)黄色品種であるために葉摘みが不要なことから、急速に勢力拡大中です。


ただ名月のネックになっているのが「日焼け

ふじなどの日焼けは、その箇所が白〜茶色になり、ひどくなるとやわらかくなってしまいますが、名月の場合は赤くにじんだようになります

それほど強い日射を浴びなくても、日当たりの良い場所は症状が出ます。


ボワァっと赤くなるならよいのですが、ちょっと行き過ぎると赤い斑点が現れます。


名月2.jpg名月1.jpg


病斑ではなく内部はまったくもって無事なのですが、どうにも病斑ぽく見えてしまってよろしくない。




なんとかこの「赤化」を防ごうと、袋掛けをしてみました。


半透明の袋を使いましたが、それでも赤くなってしまいます。

遮光してしまう袋をかけると、緑のまま熟してしまい、「月」っぽくならないそうです。


樹全体を遮光ネットで覆うのも現実的ではありませんし、そもそも日射を遮ることで食味の低下を招かないか心配です。


なんとか解決できないか模索中です。



posted by 農天気 at 21:04| Comment(0) | よもやま話

2019年11月02日

恐怖の大王襲来

カメムシ


家の中に出没すればそれはそれで恐怖の存在ですが、


果樹園の中ではそれこそ防除困難な大敵。


今年は桃・りんごとも多発生。

特に栽培期間の長いりんごは樹によっては目を覆うような有様。

といってもすべての畑ではなく、林に囲まれたいわくつきの畑が顕著。


例年、カメ害は多いのですが、今回は参った。


ネオニコチノイド系殺虫剤を昨年から使用していないことは以前に書きましたが、ネオニコはカメムシにもっとも効果が高い薬剤。同じく比較的効果のある合成ピレストロイド系殺虫剤は散布しましたが、ネオニコを抜いた分、効果が薄かった感は否めません。


ただ、最大の敗因は、私の考えの甘さでした。


カメムシは農薬による防除が困難な害虫と言われています。

なぜかと云えば、果樹園内に住んでいるのではなく、周辺の樹々から飛来してくるからです。

農薬抵抗性が低い幼虫期に叩くことが難しいし、散布中に逃げてしまうこともあります。


「どうせ薬剤散布の効果が少ないなら、ある程度の被害は覚悟しよう」

と考えたのがまずかった。


園外から飛来して、少し加害しては帰っていく・・という「日帰り」型だと勝手に考えていましたが、実際は一度飛んで来たらしばらく滞在するし、卵も産みます。


観察して、来襲を察知したら効果的な殺虫剤で叩く、という対処でも相当被害は減らせたと思います。

また、カメムシは「集合フェロモン」と呼ばれる物質を発散して仲間を呼び寄せるため、防除の怠慢が加速度的に被害を増大させてしまいます。


安易に方針を決めつけるのではなく、取りうる最善の対策をしつこく模索するべきなのに、いつもそれができません。


行政の防災担当とか、自分には到底務まらなそうです。

posted by 農天気 at 19:16| Comment(0) | よもやま話

2019年10月26日

ちょっとイラっと来る質問(横澤夏子風に)

果樹農家やってるとよく聞かれること。


「今、リンゴ(と桃)どのくらいやってるの?


耕作面積を聞かれている(と思う)のですが、この質問を受けるたびにちょっと疲れてしまいます。


それを聞いてどうするのでしょうか。


果樹は永年作物なので、耕作面積=収量ではありません


これが例えば毎年植えるコメなら、10a当たり収量10俵(約600kg)、1haで6t・・とか、レタスなら10a当たり8000本植えで、約4t採りとか・・定植本数で収量もおよそ計算できるのですが、リンゴの場合は生育ステージによって収量はまるで違います


10a12本植えのケースでは、一本当たり20個しか採れない若木では10aでわずか240個(80sくらい)、大木で一本1000個採れるなら10aで12000個(約4t)、その差なんと50倍!


リンゴ作っている人なら面積を聞くことに意味がないことはわかるはずなのに、なぜか聞かずにはいられないらしい。


とりわけウチは耕作面積(草刈り管理面積)と収量とのギャップが大きいので、この質問をされると面倒なので、適当にお茶を濁しています。


posted by 農天気 at 21:26| Comment(0) | よもやま話