2019年09月21日

タコつぼの神秘

先日取り上げた「おいしいモモ栽培」でもうひとつ興味深かったのが、その施肥方法


このあたりでは、桃に肥料をくれるときは植え付け時を除いて表面散布、つまり地面の上に肥料をまいて終わり、以上、というのがほとんどです。

水に溶けて(有機肥料の場合は土壌微生物に分解されてから)肥料成分が土に染み込み、それを根っこが吸って効いてきます。


桃はりんごに比べて根が浅く張るので、表面施肥でも効果が実感できます。

ただ、それでも土壌表面から土中に染み込んだ成分がどの程度根まで届いているかといえばはなはだ心もとない。


ある説では(りんごのケースですが)、草生栽培(表層を耕した状態ではなく、草をはやした状態で管理する方法)の場合、施用した窒素のうち樹に吸われて活用されるのは1%(!!)だという話もあります。


1%はともかく、表面施肥は効果の発現まで時間がかかり、かつムダが多い、という気はずっとしています。しかも表層に近い位置に肥料成分があれば、根っこも当然浅い位置に張ることになり、結果、干ばつなど土壌の環境変化に弱くなります。


前振りが長いですが、その「おいしいモモ栽培」が推奨する方法は「タコつぼ施肥」。


穴を掘ってそこに肥料(特に堆肥をはじめとした有機質)を土と混ぜて埋め戻す方法です。


深い位置に肥料を置くことで、雑草に吸われる量を抑え、ターゲットである桃の樹にしっかり効かせる。しかも根っこは深い位置に張るし、腐植(有機物が分解されてできた黒っぽい土)を土中にしっかり供給することができる・・実にいいことづくめの方法です。


しかしわざわざ穴を掘るのですから面倒くさい。庭木ならよいですが、何十〜100本以上もある樹のすべてに行うのは至難です。

本には、「30pの穴をできれば80cm、最低でも50cmの深さで」と書いてありますが、ある程度の大きさのオーガがなければムリ!


つまりそれがこの地域で普及していない理由だと思います。

でも、うちの樹はいつも葉色が淡くて葉が小さいので、なんとか肥料を有効にきかせたいと思っています。

穴を掘ると当然その部分の根っこが切れるので、それがよくないと思っていましたが、その本によれば、実は少し根っこは切ってやった方が、そこから細根がたくさん出て良いのだそうです。

だとしたらやるしかない!


タコつぼ施肥と表面施肥を樹を分けてそれぞれ半分ずつやってみようと思います。


穴掘りに挫折しなければですが。


ちなみにこのタコつぼは、長野県の果樹栽培指針の本や、福島の研究者が書いた本には載っていないのですが、山梨ではけっこうやっている人がいるのかもしれません。


posted by 農天気 at 23:20| Comment(0) | よもやま話

2019年09月14日

日傘は必須の時代

町の図書室(図書館というほど大きくない)に行って物色していたら、こんな本がかなり目立つ置き方で並んでいました。


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「失敗しない家庭菜園」とか「誰でもできる自然農法」みたいな「裏庭で果樹を育てている初心者向け」という感じの表紙です。


あまり期待しないで開いてみると、やはりかなり基本的な内容なのですが、この本、山梨の桃研究者が書いています。


桃の最大産地・山梨は、長野や福島とは少し栽培ノウハウが違うようで、前々から気になっていました。


中でも興味があったのは、山梨の桃農家は桃に掛けるのに二重袋を使う人が多いということ。


二重袋は、一枚袋をはぐと中の半透明の袋が傘のように残ります(下が閉じているバージョンと開いているバージョンがあります。開いている方が一般的らしい)。


傘が残ることで雨に濡れにくくなって病害の防止になり、かつ光は通すのでちゃんと着色するという仕組みです。


なぜ山梨で使っていてこっちでは使っていないのか。

聞いたことはありませんが、おそらく生育の早い山梨では梅雨の最中に除袋するので、その後の雨の被害が大きいことと、この袋は除袋がとてもやりやすく早いらしいので、規模の大きい桃農家が多い山梨ではその点が重宝されているのかな、と。


うちでは近年、雨による病害(くされ)や強い日射による日焼けの被害が大きいので、この二重袋に関心がありました。


この本でメリット・デメリットや使い方がだいたいわかったので、来年導入しようと思います。

posted by 農天気 at 22:10| Comment(0) | よもやま話

2019年09月07日

桃の反射シートあれこれ

桃は収穫前に反射シートをしきます。(りんごでも敷く場合があります)


店頭に並んでいる桃を見てみればわかりますが、桃は枝に着いているときに下を向いている方が上になります。


なので、日光を反射させて下から色づけてやるのです。

シートをしくのは大変難儀ですが、葉摘みがりんごと比べて楽ではあります。


この反射シート、以前は銀色のシートを使っていて、だから「反射シート」のかわりに「シルバー」と呼ばれることも多かったようです。ちょうど「カクレクマノミ」→「ニモ」のように(違うか)。


しかしこのシルバーシート、ギンギラギンが全くさりげなくないので、樹の内部に熱がこもってしまうし、桃が日焼けしてしまうというデメリットがあります。

またその上で仕事する人間も焙られて中生異教徒の苦しみを味わいます。


そこで農協ではもっぱら「タイベック」という白いシートを推奨しています。


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これなら光は反射しても熱は返さないので、ずっと人も桃も快適というわけです。


でもうちではまだシルバーシートを使っています。


タイベックは高いから・・約倍の価格です。

それに軽く乾きやすく、かさばらない利点はあるものの、破れやすく汚れやすく、曇りの日には反射が物足りない欠点もあります。


さらに多くの桃農家はシートを抑えるのに土の重しを使っていますが、


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うちはもっぱらペグを利用。


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これだと特にタイベックは破れやすいのです。


そしてシルバーには裏が白のタイプもあり、これだと「好天が続くときは白」「曇天の続くときは銀」、また、「枝が高くて光が届きにくい場所は銀」「地面に近い枝の下は白」と使い分けることもできます


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結局は好みの問題ですが、いずれにしろ、私にとってこの反射シートをしき、また回収する作業というのは、すべての作業の中でイヤな仕事トップスリーにランクします。

posted by 農天気 at 20:44| Comment(0) | よもやま話