2020年03月07日

農業は「消える職業」か

オックスフォード大学の教授が数年前に、「雇用の未来−コンピューター化によって仕事は失われるのかという論文を発表して話題になりました。

「コンピューターにとってかわられる確率」を全702業種で試算してランク付けしたものだそうです。


これを見ると農業関係では


54位に「農場労働請負業者」

95位に「農産物検査官」

202位に「雑農業従事者」

(「はじロボ」サイトより)


などがランクインしています。

これだけ見てもピンと来ないので、この論文に影響を受けて作られたとみられる


ロボットが仕事を奪う?未来には「消える職業」15選』(MSNライフスタイル)


を見てみると、この栄えある15の職業の中に入ってましたよ!「農業」。

その解説を見てみると・・・


「第一次産業の農業や漁業の世界にもIT化とロボット化の波が押し寄せており、太陽光パネルを利用した土壌を必要としない水耕栽培ファームなど、ハイテク化が進んでいる。無人で自動運転で農作業をするロボット農機も開発されている。生産効率が飛躍的に高まり、人の手がかからない農業の自動化がさらに進むと予想される」


ですって。


現場にいる人間がまったくその「波」を実感できないでいますが。

ハイテク農業礼賛はだいぶ前からありますが、実際ハイテクファームで成功している例は極めて稀。コストがかかりすぎるせいです。


それにりんごや桃でハイテク導入できるでしょうか。


もしセンサーや何やらの技術を駆使して、摘果や葉摘みや収穫をこなしてくれるロボットができて、それが各金200万くらいで買えるなら、喜んで導入しますが、おそらく20年後にはできないでしょう。技術的にはできてもそこまで安くはならないと思います。


そもそもそんなロボットをどこが開発してくれるのか?

これは他の生産設備にも言えることですが、工業の場合、高性能の産業機械を導入すれば、生産量を何十倍にも伸ばすことは可能でしょうが、農業ではなかなかそこまで生産能力は向上しません。


つまり、高い機械を取り入れても、それに見合う収益がないのです。


だから買わないし、買う人があまりいないのに、そこに莫大な開発資金を投入してくれる企業もないでしょう。国の主導でまともなものができないのは言わずもがなです。


もしりんご栽培の仕組みが劇的に変化して、建物の中でコンパクトなりんごの樹を並べて管理するような方法ができれば、AIやロボット頼みの栽培もできるかもしれませんが、作物の生長サイクルを短縮して、それを年に何回転もさせられる葉物野菜だったり、技術次第で次から次へと実を生らすことができるトマトなどならともかく、りんごを年2回作るとか、まず無理でしょう?


いくら高機能な施設栽培をしたって、10アール当たり2000万円とか、りんごで稼げるとは思えません。


かくしてりんごや桃の世界にITやロボットの波が押し寄せるのは当分先になりそうです。


あと、「農業」は消える職業でも「経営者」は消えないそうです。


それはそうです。ロボットやITをどう使うかを考える人は必要ですからね。


農家は一応みんな「経営者」ですから、そう考えると消えるのは「農作業者」であって「農業」や「農家」ではないとも言えます。


効率化が進めば農家の数は少なくても済みますから、淘汰はされていくでしょう。


ロボットが農業界を席巻するかはともかくとして、技術よりも経営者としてのスキルを磨く方が重要なのかも・・とちょっと思いました。



posted by 農天気 at 21:17| Comment(0) | よもやま話

2020年02月29日

鳥獣害対策の落とし穴

『農作物を守る鳥獣害対策』についてです。


世間で言われていることの多くが「勘違い」「思い込み」であることを遠慮なく指摘しています。


例えば・・


・熊などの出没が増えると、


「山の木の実が不作だから食べ物を求めて人里に降りてくるんだ!」


という報道が当たり前のようにされていますが、考えてみれば木の実が生ってくるのは秋以降なので、それ以前の熊の動向には関係ないはず・・・


・鹿は柵を跳び越えるもの・・という固定観念


確かに跳ぼうと思えば跳べるのですが、着地のときのケガのリスクを考えると、できれば跳びたくはない。だから始めは下をくぐることから試みるそうです。


・サルはものすごく利口で運動能力が抜群に高いという買い被り。


持ち上げ式の扉のついたケージに餌を入れておいたところ、いつまでたっても開けられなかった。

跳躍力は小学校高学年並み。


・イノシシはけっこう頭がいい


イノシシといえば、猪突猛進、考えもなくただ走り回るだけ・・というイメージがありますが、実は犬並みに頭がいいとか。


そのほかジビエ振興の落とし穴についても触れています。


捕獲野生動物が多いことから、その肉を有効活用しようと、ジビエ(野生動物の肉)食を広めようといろいろやってますが、料理を提供する場所が増えても、供給が安定しない。結果、ジビエ肉を輸入するという本末転倒状態。


行政のやることがあまり役に立っていないばかりか、時には逆効果になることもあると著者は語っています。

posted by 農天気 at 22:52| Comment(0) | よもやま話

2020年02月22日

こんなにたくさん!!?

2019年度4月〜12月の熊の捕獲頭数、全国で5667頭(信濃毎日新聞2020.2.18)。


私はけっこう多いな!と思いますけど、みなさんいかがでしょうか。


ちなみに過去最高を更新中です。


捕獲された熊のほとんどは殺処分されますが、一部は「学習放獣」つまり捕獲した熊に唐辛子をスプレーしたりして、「人間怖い!嫌だ!」と思い込ませてから野に返しています。


平成30年度のシカとイノシシの捕獲頭数は・・・


シカ 561000頭

イノシシ 602200頭


度肝抜かれませんか?


ホントかよ!?って自分は思ってしまいますが。


そうなんです。


猟師さん、被害を受けている農家のみなさん、かなり頑張っているんです。


2種合わせて116万頭ですからね。


この前、豚コレラで中国の豚500万頭殺処分って書きましたが、こちらもミリオン超えです。


このくらい駆除しても農作物被害は一向に減らないんです。


「駆除だけに頼る対策は限界」、ってこの前呼んだ本に書いてありました。


『農作物を守る鳥獣害対策』江口祐輔


まんまのタイトルなので、学者さんの書いたつまらない本だと思っていたら、さにあらず。


世の中に蔓延する鳥獣害対策の勘違いを鋭く指摘したなかなか痛快でタメになる本でした。


この本の内容について次回少し紹介します。


posted by 農天気 at 22:08| Comment(0) | よもやま話